国立と私立の偏差値は別物?東大生が、『偏差値の罠』を解説!

こんにちは、東大BKKコンテンツ編集部です。

「偏差値ランキング見たけど、なんか私立の方が国立よりも高くない?」

あなたは今このように思っていませんか?

 

これは多くの受験生が疑問に思っていることで、筆者も大学時代少し気になっていました。

今回は、私立と国立の比較に潜む「偏差値の罠」について詳しく説明していきます。

 

この記事を読めば、なぜ私立と国立の偏差値比較が難しいのか、そしてなぜ私立の方が高めの偏差値になるのか、が完璧にわかります。

すると、あなたは単純な偏差値に惑わされることなく志望校を選択することができます

記事は2~3分で読み終わります。この記事が少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。

東大も早慶も偏差値が同じになっている?

  1. 東京大学 文科一類(定員401):70.0
  2. 慶應義塾大学 法学部(1200):70.0
  3. 早稲田大学 政治経済学部(900):70.0
  4. 京都大学 法学部(330):67.5

上の順位表を見てください。これは「pass navi」に掲載されていた法学系統の学部の偏差値を一部抜粋したものですが、

早慶の偏差値が、東大と同じで、京大よりも高く

なっています。

「文系最高峰」とまで形容される言われる東京大学文科一類と早慶の法・政治経済学部が同じ偏差値なのはなぜのでしょうか?

また東大に次ぐはずの京大は、その早慶よりも低い偏差値となっています

実は、このようになるのには「偏差値の罠」が潜んでいるからなのです。

では、なぜ偏差値の罠が発生するのかについて詳しく見ていきましょう。

予備校などによる偏差値作出方法〜罠の中心はここにあり〜

偏差値の基礎データ収集方法

そもそも偏差値はどこの誰が決めているのでしょうか?各大学が偏差値を発表していますか?していませんよね。

実は、ネットに掲載されている偏差値を含め、多くの偏差値は予備校が作出しているのです。

そもそも偏差値は「相対的な評価」です。つまり、偏差値は、試験や模試ごとに変わる平均点を基準に作出されているのです。

そして、全国規模で偏差値を作出するには、それなりの大人数が受験した模試のデータを持っておく必要があります。

具体的には、試験模試を主催するベネッセや、全国統一模試を主催する河合塾、駿台全国模試を主催する駿台が偏差値作出の基礎データを持っています。

そして、結果として、これらの予備校・塾が中心になっているサイトに偏差値情報が掲載されるのです。

(偏差値とは何か知りたい方はこちらから↓↓↓)

偏差値とは?偏差値の求め方を東大生が図解付きで解説!【誰でもわかる】

大学・学部別の偏差値決定方法

このようにしてデータを収集したのち、各塾は、

模試受験者の入試結果を収集します

この部分が非常に重要で、自社の模試結果と実際の入試結果を比較して、偏差値を決定していくのです。

もちろん、マグレで合格したり、本番に弱くて不合格になったりする人はいますが、収集するデータの母数が非常に大きいため、そのような誤差が気にならないほどの正確性を発揮できるのです。

偏差値の罠はここにあり!

そして例えば、以下のような受験生Aくんがいたとしましょう。

A 東京大学 文科一類合格  早稲田大学 政治経済学部合格  中央大学法学部不合格

東大文一と早稲田の政経に合格して、中央の法に落ちたというパターンです。単純に学力だけを考えるとあり得ないかもしれません。

しかし、例えば、中央の法は①合否はどうでもよく、単に入試慣れするために受けた②全く対策をしていなかった分野からニッチな問題が出題された、ということは往々にあります。

そして、このような結果になった時に各大学学部の偏差値にどのような影響があるかというと、

中央大学法学部の偏差値が相対的に上昇する

ことになります。なぜかというと、中央法は、「最難関である東大文一・早稲田政経に受かったA組んですら合格できなかった大学」、という評価をされるからです。

もし予備校が①や②のような事情を知っていたら、それに配慮した偏差値作出をするかもしれませんが、そんなに細かい事情を考慮することはありません。

予備校はただ「合否の結果」だけを基にして偏差値を作出しているからです。

大学目線で考えるともっとわかりやすい

そして大学目線で考えてみましょう。大学からしてみると、偏差値が上がる方がブランド力向上にも繋がってうれいいですよね。そこでなるべくAくんのような受験生を集めたいと考えます。

つまり、難関大学に合格する力があるけれど、自校の入試には不合格となる人、のことです。

そして手っ取り早くAくんのような人を集めるには、「マニアック・ニッチ」と言われる問題を出題して、国公立対策に重点を置いている受験生を振り落とそうとするのです。

国公立志願者は、社会や理科も含めて広く浅く勉強する必要があるため、なかなか「マニアック・ニッチな問題」に対応する力をつけきれず、私立は不合格となってしまいます。一方で、対策をしている国公立にはしっかり合格します。

このようにして、私立はややマニアックと言われる問題を出して偏差値を上げますし、逆に国公立の偏差値は下がってしまう、というわけのです。

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国公立と私立、受験科目数による違い

そして国公立と私立の受験における最たる差は、受験科目数にあります。

私立の方が国公立よりも受験科目数が少ないですよね。そうすると、必然的に私立専願者はその少ない受験科目だけを勉強します。先ほどの表現を使うならば、「国公立志望者は広く浅く、私立志望者は狭く深く」、ということになります。

そうすると、同じ模試を受けた際でも、私立専願者の方がより高い点数をとり、偏差値も高くなることがわかります。そして、入試でも合格を勝ち取ると、その私立大学の偏差値が上昇するという仕組みになっているのです。

実際に入学した人の偏差値は?私立大学の定員からみてみると

そして私立の場合に問題となるのが、「合格者」「実際の入学者」です。

多くの私立は、国公立の併願として受験されるため、定員以上の合格者を出します。また、補欠合格という制度もあることで、一定の入学者を確保しつつ、過剰にならないように気をつけているのです。

したがって、多くの場合、「定員」「合格者」「補欠合格者」の3つに分けることができます。そして、合格者の中には、「合格してそのまま入学する人」と「合格したけれど辞退する人」の2パターンがあります。

そして実際の偏差値調査に使われるのは、「合格者」に関するデータです。つまり、入学したか否かは関係ありません

ここでのポイントは、「合格したけれど辞退する人」です。彼らは、合格者の中でも比較的上位に位置するそうであるため、偏差値的にも高いものを持っています。そして多くの場合、上位層である彼らは、実際には入学しないのです。

その結果、補欠合格者から代わりの合格者が出るなどすると、

実際に入学した人の偏差値は本来の合格者の偏差値よりも低く

なります。

しかし、予備校などのサイトに掲載される偏差値は「最初の合格者」のものなので、結果として

実際の入学者に反して、偏差値が高くなりがちな傾向

が生じてしまうのです。

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まとめ

いかがだったでしょうか?私立の偏差値が高めに出るのには、このように、

  • 私立大学の戦略
  • 受験科目数
  • 合格者と入学者の違い

というような複数の要因が絡み合って、生じているのです。

ただし、あくまで偏差値は大学を選ぶ際の一要素にすぎません。自分が何を学び、何になりたいのかなどの方がよっぽど重要です。

みなさんが見かけの偏差値に惑わされることなく、志望校に合格することを願っています。

 

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